カワラサイコ

カワラサイコ
国営ひたち海浜公園 2019年8月上旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ上類 Superrosids
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : マメ類 Fabids
: バラ目 Rosales
: バラ科 Rosaceae
亜科 : バラ亜科 Rosoideae
: キジムシロ属 Potentilla
: カワラサイコ P. chinensis
学名
Potentilla chinensis Ser.[1]
シノニム
和名
カワラサイコ(河原柴胡)[3]
ウィキメディア・コモンズには、カワラサイコに関連するメディアがあります。
ウィキスピーシーズにカワラサイコに関する情報があります。

カワラサイコ(河原柴胡、委陸菜[4]学名Potentilla chinensis)は、バラ科キジムシロ属多年草。同属のヒロハノカワラサイコに似るが、同種と比べると本種は全体に大きく、奇数羽状複葉の小葉の数が多く、裂片の裂け方が深く、裂片の幅が狭い。小葉の間に付属小葉片がある[3][5]

特徴

は木質化して、円柱状となって直立する。は高さ30-70cmになり、長毛が生える。は奇数羽状複葉で、根出葉は束生し、茎葉は互生する。小葉は15-29個あり、上部の小葉は長さ2-5cm、幅8-15mm、倒披針形から狭長楕円形になり、下部のものは次第に小さくなり、葉脈の主脈まで羽状に切れ込む。裂片は鋭頭、表面は緑色で、有毛からほとんどが無毛、裏面は白い綿毛が密生し、乾燥すればときに縁は裏側に巻き込む。小葉と小葉の間に付属小葉片がある。茎葉の基部に托葉があり、広楕円形になり、鋸歯縁になるか深い歯牙状になる[5][3][6]

花期は6-8月。花序は散房状集散花序になり、頂生し、長期間にわたって次々と花を開く。は黄色で径8-15mmになる。片は5個あり、三角状長楕円形から狭卵形で、長さ3-5mm、幅1.5-2mm、先は鋭頭になり、外側には長毛が密に生える。副萼片も5個あり、披針形から線状披針形で、萼片より小さく、先は鋭頭から鋭突頭になり、外側に長毛が密に生える。花弁も5個あり、倒卵状円形で先は凹頭になり、長さ5-7mm、幅4-6mmになる。雄蕊は15-20個あり、葯は長楕円形から卵形になる。心皮は多数あり、花柱はわずかに基部で肥厚し、やや頂生し、柱頭は広がる。花床は円錐形で毛が生える。果実は広卵形の痩果で多数つき、痩果は黄褐色で毛はなく、縦じわがあり、長さ約1.3mmになる[5][3][6]

分布と生育環境

日本では、本州、四国、九州に分布し、日当たりのよい海辺や河川敷などの砂礫地に生育する[3][5][6]。世界では、極東ロシア台湾朝鮮半島中国大陸に分布する[5]

名前の由来

和名カワラサイコは、「河原柴胡」の意[3][6]。河原に生え、根茎が太く、根茎を薬用とするセリ科ミシマサイコの類「柴胡」に似ることによる[3][6]

種小名(種形容語)chinensis は、「中国」の意味[7]

分類

同属のヒロハノカワラサイコ P. niponica は、奇数羽状複葉の小葉は7-15個と少なく、裂片の裂け方が浅く、裂片の幅が広い。小葉と小葉の間に付属小葉片がない。葉の基部にある托葉にはわずかに鋸歯あり、深い歯牙状にはならない[5]

ギャラリー

  • 根出葉は束生し、羽状複葉の小葉の数が多い。
    根出葉は束生し、羽状複葉の小葉の数が多い。
  • 茎葉は互生する。葉は奇数羽状複葉で、上部の小葉が大きい。葉柄の基部に托葉があり、鋸歯縁になる。
    茎葉は互生する。葉は奇数羽状複葉で、上部の小葉が大きい。葉柄の基部に托葉があり、鋸歯縁になる。
  • 左の部分拡大。小葉と小葉の間に付属小葉片がある。
    左の部分拡大。小葉と小葉の間に付属小葉片がある。
  • 小葉の裏面は白い綿毛が密生し、縁は裏側に巻き込む。
    小葉の裏面は白い綿毛が密生し、縁は裏側に巻き込む。
  • 花は黄色で5弁花。倒卵状円形で先は凹頭になる。
    花は黄色で5弁花。倒卵状円形で先は凹頭になる。
  • 萼片と比べ副萼片は小さい。外側には白い長毛が密生する。
    萼片と比べ副萼片は小さい。外側には白い長毛が密生する。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ カワラサイコ「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
  2. ^ カワラサイコ(シノニム)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
  3. ^ a b c d e f g 『山溪ハンディ図鑑1 野に咲く花』p.297
  4. ^ 『日本難訓難語大辞典』遊子館、2007年。 
  5. ^ a b c d e f 『改訂新版 日本の野生植物 3』p.36
  6. ^ a b c d e 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.638
  7. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1487

参考文献

  • 林弥栄監修『山溪ハンディ図鑑1 野に咲く花』、1989年、山と溪谷社
  • 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 3』、2016年、平凡社
  • 牧野富太郎原著、邑田仁・米倉浩司編集『新分類 牧野日本植物図鑑』、2017年、北隆館
  • 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
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