ジェームス山

ジェームス山(ジェームスやま)は、兵庫県神戸市垂水区青山台・塩屋町付近を指す通称地名である。須磨離宮公園周辺とともに神戸市西部を代表する高級住宅街として名高い。明治時代にかけて移住したアメリカ人やイギリス人の多数の洋館が残ることで知られ、大阪湾明石海峡淡路島)を見下ろす高台に位置する。

ジェームス邸外観

サマセット・モームの短編小説集『コスモポリタンズ』の一小説である「困ったときの友は真の友(A friend in need is a friend indeed)」に、塩屋カントリークラブなど今もジェームス山に残る名門クラブが描かれている。淡路島の津名出身である三洋電機創業者の井植歳男が望淡閣の名で三洋電機の迎賓館としてジェームス邸を買い取ったことは広く知られている。

歴史

ジェームス山異人街・いかなご釘煮発祥の地碑

1930年昭和5年)、神戸に居住しカメロン商会を経営していたイギリス人貿易商、アーネスト・ウイリアムス・ジェームス(英語: Ernest William James[1])が、当地に自邸を含めてイギリス人のための住宅地を約60棟以上ほど開発した。やがてジェームスの名を取り、この地を「ジェームス山」と称するようになった。

ジェームスの没後、旧邸とイギリス人住宅地を井植歳男三洋電機創業者)が所有したことにより、近郊住宅地としてのジェームス山が誕生した。青山台一丁目には、井植を顕彰する井植記念館[2]が建つ。また塩屋の異人館1989年映画花の降る午後』の撮影場所にもなった。

ジェームス山開発を行う塩屋土地株式会社[3]は、井植家の資産管理会社[4][5]でもあり、アイジー興産(ジェームス山自動車学院)、淡路フェリーボート洲本ゴルフ倶楽部)、ユーアールエー、ホテルアナガとともにグループを構成する。

施設・周辺

  • 西洋館近代建築
    • 旧ジェームス邸(望淡閣) 昭和9年(1934年)築[6][7][8]
      井植歳男没後は井植敏(三洋電機元社長)が相続、2003年に三洋電機子会社に売却、2005年から三洋電機所有。同社迎賓館の役割もあった。2012年2月に神戸市の指定有形文化財となった[9]。同年12月からは、三洋電機より借り受けたノバレーゼが運営する婚礼施設兼フレンチレストラン、ジェームス邸としてオープンした[10][11][12]2016年NHKの朝のテレビ小説べっぴんさんのロケ地に使用された[13]
    • 旧ジェームス邸車庫住宅(聖泉館) 昭和9年(1934年)築
    • 旧グッゲンハイム邸[14]明治45年(1912年)築
    • 旧ジョネス邸 大正8年(1919年)築
    • 旧後藤邸 明治40年(1907年)築
    • 鄭邸 明治40年(1907年)築
    • 竹内邸 大正5年頃(1916年)築
    • 旧清水邸
    • 岸本・青山・中川邸
    • 柏木邸
    • 四本邸
    • 旧塩屋異人館倶楽部
    • 鐘紡クラブ
  • 井植記念館
  • 神戸ジェームス山[15]
  • イオンジェームス山店[16](旧ジェームス山サティ。塩屋土地が所有[17]
  • ジェームス山天然温泉
  • ジェームス山自動車学院[18]
  • 安養寺
  • 若宮神社
    祭神:顕宗天皇仁賢天皇安閑天皇。6月1日、うどん祭り。7月25日、天神祭。10月10日、秋祭。
  • 西向地蔵
    明治時代から大正時代頃、塩屋の地引網(やんだら)にかかった地蔵。
  • 毘沙門天
  • 山王神社
  • いかなご釘煮発祥碑
  • ライオン像
    もともと数種の動物が飼われていたためといわれる、他にタイガー像もある。
  • 岩船不動明王
  • 高尾稲荷
  • 塩屋漁港
  • 塩屋西向地蔵
    塩屋西向地蔵
  • 塩屋安養寺
    塩屋安養寺
  • 塩屋若宮神社
    塩屋若宮神社
  • 釘煮発祥碑
    釘煮発祥碑

交通

路線バス

以上のバスがジェームス山地区へ乗り入れる。 このほかにジェームス山地区内で平日昼間に限り塩屋北町循環バス(山陽電鉄バス・30系統)が運行されている。

当地を舞台にした作品

脚注・参照

[脚注の使い方]
  1. ^ Tamura 2002.
  2. ^ 公益財団法人 井植記念会
  3. ^ -Shioya Tochi- ジェームス山
  4. ^ 三洋電機、井植ブランド輝き消ゆ - asahi.com 2007年3月30日
  5. ^ 三洋電機、同族経営の終焉 (3) - ネットIB(データ・マックス 2007年4月26日)
  6. ^ 神戸(昭和9年)▷新築のジェームス邸(現・垂水区塩屋のジェームス山) - ジャパンアーカイブズ 2020年1月27日閲覧。
  7. ^ “塩屋の邸宅文化を伝える旧ジェームス邸 ー 2014年9月号|神戸っ子アーカイブ”. 2018年8月9日閲覧。
  8. ^ 神戸 旧ジェームス邸 | オーダーメイド家具の永田良介商店 -神戸の欧風家具店-
  9. ^ 神戸市指定有形文化財
  10. ^ 神戸・播磨の結婚式場|ジェームス邸モノリス|いつまでも記憶に残る美しいウエディングを
  11. ^ 神戸の旧貿易商邸宅レストラン|ジェームス邸
  12. ^ 文化財の歴史的洋館で結婚式、神戸の旧ジェームス邸が婚礼施設に。 | Narinari.com
  13. ^ 【べっぴんさんロケ地】坂東家お屋敷洋館は「旧ジェームス邸」(神戸市垂水区) | ロケTV
  14. ^ 旧グッゲンハイム邸 | 神戸市塩屋の洋館
  15. ^ 神戸ジェームス山[リンク切れ]
  16. ^ イオンジェームス山店
  17. ^ 神戸市:ジェームス山サティ
  18. ^ ジェームス山自動車学院

参考文献

  • Tamura, Keiko (2002), Engagement with Japan: How Westerners Lived in Kobe before and After World War 2, Harold White Fellow Presentation at the National Library of Australia, https://www.nla.gov.au/keiko-tamura/engagement-with-japan-how-westerners-lived-in-kobe-before-and-after-world-war-2 
  • 水島あかね、玉田浩之「神戸市塩屋ジェームス山の戦後拡張計画について」『日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集』第16巻、公益社団法人日本都市計画学会、2018年7月25日、doi:10.11361/cpijkansai.16.0_1。 

関連項目

ウィキメディア・コモンズには、ジェームス山に関連するカテゴリがあります。

外部リンク

  • “2014年9月号 特集『E.W.ジェームスが愛した塩屋』 | 神戸っ子アーカイブ”. 2018年8月9日閲覧。
    • “ジェームス山とは? ー 2014年9月号|神戸っ子アーカイブ”. 2016年9月10日閲覧。
  • “ジェームス邸”. 2021年7月14日閲覧。
  • フォトレポート 見学会「神戸塩屋の近代建築を巡る」
  • “見聞録「ジェームズ山異人館街」〜CityDO! 兵庫県阪神エリア〜”. 2007年9月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年9月28日閲覧。
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