核磁子

核磁子
nuclear magneton
記号 μN
5.0507837393(16)×10−27 J T−1 [1]
相対標準不確かさ 3.1×10−10
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核磁子(かくじし、: nuclear magneton、記号 μ N {\displaystyle \mu _{\mathrm {N} }\,} )は核子が持つ磁気モーメント物理定数。まれに電子がもつ磁気モーメントであるのボーア磁子に対して核ボーア磁子ともよばれる。

国際単位系(SI)における値は

μ N = 5.050   783   7393 ( 16 ) × 10 27   J   T 1 {\displaystyle \mu _{\text{N}}=5.050\ 783\ 7393(16)\times 10^{-27}\ {\text{J}}\ {\text{T}}^{-1}}

である(2022CODATA推奨値[1])。

国際量体系(ISQ)において、核磁子は

μ N = e 2 m p {\displaystyle \mu _{\text{N}}={\frac {e\hbar }{2m_{\text{p}}}}}

で表される。 ここで e電気素量ħプランク定数mp は陽子の質量である。 なお、ガウス単位系では電流と磁気の関係付け方が異なるため、光速度 c の因子が入って

μ N = e 2 m p c {\displaystyle \mu _{\text{N}}={\frac {e\hbar }{2m_{\text{p}}c}}}

で表される。

核子のなかで、陽子は電子と同じスピンと電気素量をもつフェルミオンである。しかし陽子の質量は電子の約1840倍あるため、核磁子の磁気モーメントは電子のボーア磁子のおよそ1840分の1である。 単純に考えると、核磁子の値は陽子の磁気モーメント μ p {\displaystyle \mu _{\text{p}}} とほぼ等しいはずである。また中性子は電荷をもたないため、磁気モーメント μ n {\displaystyle \mu _{\text{n}}} はゼロであるはずである。しかし実際の陽子、中性子のの磁気モーメントは核磁子 μ N {\displaystyle \mu _{\text{N}}} に比べて

  • μ p = 2.79 μ N {\displaystyle \mu _{\text{p}}=2.79\mu _{\text{N}}}
  • μ n = 1.91 μ N {\displaystyle \mu _{\text{n}}=-1.91\mu _{\text{N}}}

であり単純な理論値とは大きく異なっている。これは異常磁気モーメントとよばれ、陽子や中性子が内部に電荷を持ったクォークからなる複合粒子であることに起因すると考えられている。

脚注

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  1. ^ a b CODATA Value

関連項目

外部リンク

  • “CODATA Value: nuclear magneton”. NIST. 2024年5月20日閲覧。