水経注

水経注』(すいけいちゅう)は、中国北魏代の地理書である。40巻。撰者(注者)は酈道元469年 - 527年)、延昌4年(515年)の成立と推定される。

水経

その名の通り、本書は『水経』に対する注釈であり、本文も、「経」文に対する「注」文で構成されている。『水経』は、前漢代の桑欽の撰とされる(『唐六典』による)。但し、『隋書』「経籍志」には撰者を記さず、『旧唐書』「経籍志」では、『隋書』では注者とする晋代の郭璞を撰者としている。『通典』では、地名表記を考証した結果、後漢の順帝以後の成立と述べている。朝末期の考証学者、楊守敬1839年 - 1915年)は、更に下って、三国の魏の時代の成立としている。

伝歴

酈道元の『水経注』は当初40巻本であったが、10世紀前後には、亡失の巻(晋代の郭璞注三巻。大漢和辞典より)が出て完本ではなくなっていた。それと共に、本来は別個であった経文と注文とが混雑してしまった。それを、の学者たちが調査し校合した結果、数種の復元がなされた。その中で最も詳細な考証を加えたのが、明の朱謀㙔が1615年に撰した『水経注箋』である。その土台の上に、全祖望1705年 - 1755年)や戴震1723年 - 1777年)らがテキストを復元した。

目録

  • 原序
  • 巻1 河水
  • 巻2 河水
  • 巻3 河水
  • 巻4 河水
  • 巻5 河水
  • 巻6 汾水、澮水、涑水、文水、原公水、洞過水、晋水、湛水
  • 巻7 済水
  • 巻8 済水
  • 巻9 清水、沁水、淇水、蕩水、洹水
  • 巻10 濁漳水、清漳水
  • 巻11 易水、滱水
  • 巻12 聖水、巨馬水
  • 巻13 㶟水
  • 巻14 濕余水、沽河、鮑丘水、濡水、大遼水、小遼水、浿水
  • 巻15 洛水、伊水、瀍水、澗水
  • 巻16 穀水、甘水、漆水、滻水、沮水
  • 巻17 渭水
  • 巻18 渭水
  • 巻19 渭水
  • 巻20 漾水、丹水
  • 巻21 汝水
  • 巻22 潁水、洧水、潩水、潧水、渠水(沙水)
  • 巻23 陰溝水、汳水、獲水
  • 巻24 睢水、瓠子河、汶水
  • 巻25 泗水沂水、洙水
  • 巻26 沭水、巨洋水、淄水、汶水、濰水、膠水
  • 巻27 沔水
  • 巻28 沔水
  • 巻29 沔水、潛水、湍水、均水、粉水、白水、比水
  • 巻30 淮水
  • 巻31 滍水、淯水、㶏水、灈水、瀙水、潕水、溳水
  • 巻32 漻水、蘄水、決水、沘水、泄水、肥水、施水、沮水、漳水、夏水、羌水、涪水、梓潼水、涔水
  • 巻33 江水
  • 巻34 江水
  • 巻35 江水
  • 巻36 青衣水、桓水、若水、沫水、延江水、存水、温水
  • 巻37 淹水、葉楡河、夷水、油水、澧水沅水、泿水
  • 巻38 資水漣水湘水、灕水、溱水
  • 巻39 洭水、深水、鍾水、耒水洣水、漉水、瀏水、㵋水、贛水、廬江水
  • 巻40 漸江水、斤江水

テキスト

  • 『合校水経注』(王先謙
  • 『水経注疏要刪』(楊守敬、熊会貞)

参考文献

中国語版ウィキソースに本記事に関連した原文があります。
水經注