2021年11月ティグレ軍攻勢

2021年11月ティグレ軍攻勢
ティグレ紛争中
時2021年10月31日～12月1日
場所エチオピア
現況

反政府勢力のアディスアベバ攻略失敗、エチオピア軍が反攻を開始

  • ENDFがデセ、コムボルチャを奪還、ティグレ州に侵入
衝突した勢力
エチオピアの旗 エチオピア

UFEFCF

指揮官
エチオピアの旗 アビィ・アハメド[1] ティグレ州の旗 ツァドカン・ゲブレタンザエ[2]
部隊
エチオピア国防軍
アムハラ人民兵隊[3]		 ティグレ防衛軍
オロモ解放軍
戦力
不明 不明
被害者数
不明 不明
  • 表
  • 話
  • 編
  • 歴
2020年
  • エチオピア北方司令部への攻撃（英語版）
  • フメラ（英語版）
  • アスマラロケット攻撃（英語版）
  • メケレ（英語版）
2021年
  • アルラ作戦（英語版）
  • ティグレ州攻撃（英語版）
  • 2021年11月ティグレ軍攻勢
  • ENDF国家統一攻勢（英語版）
2022年
  • シレ（英語版）
 
虐殺
2020年
  • マイ・カドラ（英語版）
  • フメラ（英語版）
  • アディグラト（英語版）
    • ザランベッサ（英語版）
    • デンゲラット（英語版）
  • ウクロ (1回目)（英語版）
  • ウクロ (2回目)（英語版）
  • ヒサツ（英語版）
  • メケレ(1回目)（英語版）
  • アクスム（英語版）
  • ゴダ（英語版）
  • ハゲレ・セラム（英語版）
  • ジバン・ゲデナ（英語版）
  • 12月のギジェト（英語版）
  • ウクロ (3回目)（英語版）
2021年
  • ボラ（英語版）
  • デバノ（英語版）
  • マヘーベレ・デゴ（英語版）
  • ウクロ (4回目)（英語版）
  • コダ・テンビエン（英語版）
  • ザムル（英語版）
  • フィナルワ（英語版）
  • ウクロ (5回目)（英語版）
  • ハデシュ・アディ（英語版）
  • メイ・アツミ（英語版）
  • ティシャ（英語版）
  • ギラ・アラス（英語版）
  • グー（英語版）
  • トゴガ（英語版）
  • ガリコマ（英語版）
  • チェンナ（英語版）
  • コボ（英語版）
  • メケレ (2回目)（英語版）
  • コンボルチャ（英語版）
2022年
  • デデビット（英語版）
  • ベルハレ（英語版）
  • メケレ幼稚園（英語版）
  • アディ・ダエロ（英語版）


2021年11月ティグレ軍攻勢（2021ねん11がつティグレぐんこうせい）とは、ティグレ紛争中の2021年10月末に開始された、ティグレ防衛軍(TDF)とオロモ解放軍(OLA)による攻勢作戦である。10月下旬から11月上旬にかけてTDF、OLAはアディスアベバ攻略を目指す作戦を展開し、短期間ながら複数の都市を支配した。エチオピア政府の発表によれば、TDFはコムボルチャの街で100人の若者を殺害したとされている[4]。

背景

2020年11月4日、ティグレ州特殊部隊は北部のエチオピア国防軍基地に攻撃を実施した。これを受けエチオピア国防軍はアムハラ州特殊部隊、エリトリア防衛軍などとともにティグレ州に侵攻した。こうしてティグレ紛争が開始され、両軍の手により数多くの戦闘、戦争犯罪が行われた。

2021年10月初頭までにTDFはエチオピア軍に占領されたティグレ州の大半を奪還し、アムハラ州北部に進出していた。一方のエチオピア政府もティグレ州への人道支援を封鎖することでこれに対抗した。10月中旬、ENDFはアムハラ州におけるTDF支配地域を奪還すべく、新たな攻勢作戦を開始した。

2021年11月1日までに、オロモ解放軍は「オロミア州西部、中央部、南部のいくつかの町」を攻略したと発表した。

デセ、コムボルチャ陥落

11月2日までの数日間で、TDFはデセ、コムボルチャの両都市を占領した。 ニューヨークタイムズは、この事態について、「両都市は戦略的要衝である……首都から南北に延びる高速道路上に位置するこの都市の攻略は、エチオピアの未来を決めることになるかもしれない」と報じた。

他方、OLAも10月31日カミセの攻略を発表した。これによって軍事同盟を結んでいたTDFとOLAの部隊が合流し、両軍は首都アディスアベバへの進撃を開始した。さらに11月5日、TDFとOLAを含む反政府勢力9派が合流し、エチオピア連邦統一軍事戦線が成立した。

この間、エリトリア軍の活動はほとんど見られなかった。フランスの歴史家でアフリカの角を専門とするジェラール・プルニエによれば、この動きはティグレ州内のエリトリア軍の多くがスーダン国境、またはエリトリアとティグレ州間の国境に配置されていたためである。これは、エジプト、スーダンなどがティグレ州を支援することを防ぐためだと考えられている。このため、大損害を被ったエチオピア政府軍に代わって、アディスアババの防衛を行ったのは、ほとんどがアムハラ人からなる民兵であった[3]。エチオピア政府軍とその指揮系統について、西側諸国やTDF指導部は、この時点で崩壊したと考えていた。

11月中旬から下旬

11月16日、TDFは、アムハラ州のオロモ人特別区に位置する、アタイェとセンベテを攻略したと発表した。この地域は、10月にオロモ人とアムハラ人との間で武力衝突が起きていた地域である。11月19日には反政府勢力はシェワ・ロビトに迫っており、22日には同都市の攻略を発表した。11月25日、TDFがデブレ・シナに迫ると、アビィ・アハメド首相は前線訪問を発表した。報道官によれば彼が戦場に到着したのは11月23日であり、当時反政府勢力はジブチから延びるエチオピア軍の補給路を遮断しようとしていた。

11月28日にかけて行われた戦闘で、アファル州特殊部隊はチフラを奪還した。街頭ではおびただしい数の死体が発見されたとされており、商店やモスクは破壊され、住民は逃亡、チフラはアファル州の部隊の拠点となった。

12月：エチオピア政府軍の反攻

アビィ・アハメド首相は国家の防衛のため、前線で戦争に加わると発表した[5]。発表後、ENDFは各地で反撃を開始し、デセとコムボルチャを奪還するなど、大きな戦果を獲得した[6]。 12月13日、エチオピア政府はメケレからウェルディヤに延びる幹線道路を遮断したと発表した[7]。 さらに12月18日、ENDFはウェルディヤの奪還を発表した。翌日にはデメケ・メコネン副首相がラリベラの観光名所を訪れ、ラリベラを保持しているとするTPLFの主張を否定した[8]。 12月20日、TPLFのスポークスマンであるゲタチェウ・レダは、「人道支援を受けるため、部隊のティグレ州への撤退を決定した。」と発表した[9]。

エチオピア政府の反撃はメディア上でも行われた。Geopolitics Pressは「バスマからエチオピアへ」というタイトルの記事を発表し、エチオピア政府がこれまで偽情報や、悪意のある報道に苦しんできたと報じた[10]。例として、デセ陥落時にCNNが「エチオピア軍はアディスアベバの郊外にいる」と報じたこと[11]を挙げ、CNNは反政府勢力のスパイだと非難した[12]。11月21日以降、世界中のエチオピア政府を支持する活動家がSNS上で集会を開催した。これらの集会には多数の在外エチオピア人が参加し、紛争に関する「偽情報」を非難、さらにアフリカの角地域にアメリカが干渉したことも同様に非難した[13]。

戦争犯罪

エチオピア当局は、コムボルチャでTDFによって超法規的殺害が行われ、100人の若者が殺害されたと主張した[4]。

参考文献

[脚注の使い方]
  1. ^ “Ethiopia PM says he will lead army 'from the battlefront'” (英語). Washington Post. ISSN 0190-8286. https://www.washingtonpost.com/world/ethiopia-pm-says-he-will-lead-army-from-the-battlefront/2021/11/22/1a73341a-4bd1-11ec-a7b8-9ed28bf23929_story.html 2021年11月22日閲覧。 
  2. ^ Walsh, Declan; Marks, Simon (2021年11月2日). “Ethiopia Declares State of Emergency as Rebels Advance Toward Capital”. The New York Times. オリジナルの2021年11月16日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20211116030231/https://www.nytimes.com/2021/11/02/world/africa/ethiopia-state-of-emergency.html 2021年11月16日閲覧。 
  3. ^ a b “Gérard Prunier: en Éthiopie, "il faut multilatéraliser le changement de régime"” (フランス語). Radio France Internationale. (2021年11月4日). https://www.rfi.fr/fr/podcasts/invit%C3%A9-afrique/20211104-g%C3%A9rard-prunier-en-%C3%A9thiopie-il-faut-multilat%C3%A9raliser-le-changement-de-r%C3%A9gime 2021年11月23日閲覧。 
  4. ^ a b “Ethiopia's Tigray crisis: PM Abiy calls on citizens to take up arms against rebels” (英語). BBC News. (2021年11月1日). https://www.bbc.com/news/world-africa-59118773 2023年11月3日閲覧。 
  5. ^ Smith, Elliot (2021年11月24日). “Ethiopian PM Abiy Ahmed joins frontline as conflict against rebels intensifies” (英語). CNBC. https://www.cnbc.com/2021/11/24/ethiopian-pm-abiy-ahmed-joins-frontline-as-conflict-against-rebels-intensifies.html 2021年12月21日閲覧。 
  6. ^ Ethiopian forces recapture two key towns from Tigrayan forces
  7. ^ “Ethiopian Army Regains Control of 6 Towns, Cuts Woldia-Mekelle Highway | ZeHabesha Ethiopian News | Latest News for All” (2021年12月13日). 2022年1月3日閲覧。
  8. ^ “Ethiopian military again controls religious town of Lalibela - media”. Reuters. (2021年12月20日). https://www.reuters.com/world/africa/ethiopian-military-again-controls-town-lalibela-state-media-2021-12-19/ 
  9. ^ Ethiopia's rebels announce retreat to Tigray
  10. ^ From Basma to Ethiopia – How C2FC is Using Lethal Journalism to Conduct Information Warfare and Lawfare against Ethiopia | Geopolitics Press
  11. ^ “Rebels threaten Ethiopian capital as UN slams atrocities committed in Tigray conflict”. CNN. 2022年1月3日閲覧。
  12. ^ “CNN's Biased Reporting on Ethiopia's Conflict Screams for an Independent Investigation” (2021年12月2日). 2022年1月3日閲覧。
  13. ^ Ethiopian and Eritrean communities lead #NoMore global protests vs. U.S. Intervention – Liberation News

 

  • 表
  • 話
  • 編
  • 歴
背景
歴史
  • ティグレ州西部の歴史（英語版）
    • ウェルカイト問題（英語版）
  • 1995年エチオピア憲法（英語版）
  • エリトリア・エチオピア戦争（英語版）
  • エチオピアの選挙（英語版）
    • 2005年エチオピア選挙（英語版） / 虐殺（英語版）
  • 2014–16年オロモ抗議（英語版）
  • 2016–18年非常事態宣言（英語版）
  • ハイレマリアム・デサレギンの辞任（英語版）
予兆
  • エチオピア内戦 (2018年-)
  • 2018年エリトリア–エチオピア首脳会談（英語版）
  • アフリカの角三国合意（英語版）
  • 繁栄党
  • エチオピアにおけるCOVID-19パンデミック（英語版）
  • ハチャル・フンデッサの暴動（英語版）
  • 2020年ティグレ州地方選挙（英語版）
経過（英語版）
  • エチオピア北方司令部への攻撃（英語版）
  • フメラの戦い（英語版）
  • アスマラロケット攻撃（英語版）
  • メケレ攻勢（英語版）
  • 2021年メケレ空爆（英語版）
  • アルラ作戦（英語版）
  • 2021年11月ティグレ軍攻勢
  • 2021–2022年エチオピア非常事態宣言（英語版）
  • ENDF国家統一攻勢（英語版）
  • シレの戦い（英語版）
影響
  • ティグレ紛争への反応（英語版）
  • 2021年エチオピア総選挙（英語版）
  • ティグレ紛争の影響（英語版）
  • 2022年アル・シャバブによるエチオピア侵攻（英語版）
和平プロセス
組織
主要勢力
正規軍
民兵
  • ファノ (民兵)（英語版）
  • UFEFCF
人権団体
  • エチオピア人権委員会（英語版）
  • ティグレ非常事態調査委員会（英語版）
非政府団体
  • エチオピア人権評議会（英語版）
  • エチオピア赤十字社（英語版）
  • エリトリア人権危機委員会（英語版）
  • セブ・ヒドリ（英語版）
  • ユコノ（英語版）
人権
犠牲者
  • ティグレ紛争の犠牲者（英語版）
差別
  • ティグレ紛争における民族差別（英語版）
ティグレ紛争における戦争犯罪（英語版）
ティグレ紛争の虐殺（英語版）
  • アディ・ダエロ（英語版）
  • アディ・グラット（英語版）
  • アクスム（英語版）
  • チェンナ（英語版）
  • デデビット（英語版）
  • デンゲラト（英語版）
  • ヒツサッツ（英語版）
  • フメラ（英語版）
  • コボ（英語版）
  • マイ・マドル（英語版）
  • トゴガ（英語版）
  • 性暴力（英語版）
    • ハウゼン（英語版）
  • 文化遺産の破壊
    • アクスム
    • デブレ・ダモ（英語版）
    • ネガシュ（英語版）
  • エチオピアでの虐殺の予測（英語版）
難民/国内避難民
  • ハムダイエ国境受入センター（英語版）
  • ティグレ紛争中のエリトリア難民の強制送還（英語版）
  • シレ（英語版）
食糧
  • エチオピア北部飢饉 (2020年–)（英語版）
調査
  • ACHPRティグレ州調査（英語版）
  • EHRC–OHCHRティグレ州調査（英語版）
  • エチオピアにおける人権専門家国際委員会（英語版）
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