1980年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)優勝決定戦の第77回ワールドシリーズ(だい77かいワールドシリーズ、77th World Series)は、10月14日から21日にかけて計6試合が開催された。その結果、フィラデルフィア・フィリーズ(ナショナルリーグ)がカンザスシティ・ロイヤルズ(アメリカンリーグ)を4勝2敗で下し、球団創設98年目で初の優勝を果たした。
今シリーズの全米テレビ中継はNBCで行われ、第6戦ではシリーズ史上最多となる平均視聴者数5490万人を記録した[3]。フィリーズはこの試合に勝ったことで、1903年の第1回シリーズ開催よりも前から存続している16球団のうち唯一のシリーズ制覇経験なしという状態を脱却した[4]。一方のロイヤルズは、1961年以降のエクスパンションによって創設された球団ではニューヨーク・メッツに次ぐ2球団目のシリーズ出場だったが、優勝には届かなかった[5]。シリーズMVPには、第2戦の勝ち越し二塁打や第6戦の先制・決勝2点適時打など複数の殊勲打を放ち、6試合で打率.381・2本塁打・7打点・OPS 1.176という成績を残したフィリーズのマイク・シュミットが選出された。
ワールドシリーズでは1976年から指名打者(DH)制度が導入され、1985年までの10年間は、偶数年は全試合で採用、奇数年は全試合で不採用とされていた[6]。したがって今シリーズでは、DH制が全試合で採用されている。
試合結果
1980年のワールドシリーズは10月14日に開幕し、途中に移動日を挟んで8日間で6試合が行われた。日程・結果は以下の通り。
日付 | 試合 | ビジター球団(先攻) | スコア | ホーム球団(後攻) | 開催球場 |
10月14日(火) | 第1戦 | カンザスシティ・ロイヤルズ | 6-7 | フィラデルフィア・フィリーズ | ベテランズ・スタジアム | |
10月15日(水) | 第2戦 | カンザスシティ・ロイヤルズ | 4-6 | フィラデルフィア・フィリーズ |
10月16日(木) | | 移動日 | |
10月17日(金) | 第3戦 | フィラデルフィア・フィリーズ | 3-4x | カンザスシティ・ロイヤルズ | ロイヤルズ・スタジアム |
10月18日(土) | 第4戦 | フィラデルフィア・フィリーズ | 3-5 | カンザスシティ・ロイヤルズ |
10月19日(日) | 第5戦 | フィラデルフィア・フィリーズ | 4-3 | カンザスシティ・ロイヤルズ |
10月20日(月) | | 移動日 | |
10月21日(火) | 第6戦 | カンザスシティ・ロイヤルズ | 1-4 | フィラデルフィア・フィリーズ | ベテランズ・スタジアム |
優勝:フィラデルフィア・フィリーズ(4勝2敗 / 球団創設98年目で初) |
第1戦 10月14日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
ロイヤルズのウィリー・エイキンズが3回表と8回表にそれぞれ2点本塁打を放つ(1分47秒) |
3回裏、ベイク・マクブライドの3点本塁打でフィリーズが逆転(53秒) |
9回表、タグ・マグロウがウィリー・ウィルソンを空振り三振に仕留めて試合終了、フィリーズが先勝(52秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
カンザスシティ・ロイヤルズ | 0 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 6 | 9 | 1 |
フィラデルフィア・フィリーズ | 0 | 0 | 5 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | X | 7 | 11 | 0 |
- 勝:ボブ・ウォーク(1勝) 敗:デニス・レナード(1敗) S:タグ・マグロウ(1S)
- 本塁打
KC:エイモス・オーティス1号2ラン、ウィリー・エイキンズ1号2ラン・2号2ラン
PHI:ベイク・マクブライド1号3ラン - 審判
[球審]ハリー・ウェンデルステット(NL)
[塁審]一塁: ビル・カンケル(AL)、二塁: ポール・プライアー(NL)、三塁: ドン・デンキンガー(AL)
[外審]左翼: ダッチ・レナート(NL)、右翼: ニック・ブレミガン(AL) - 夜間試合 試合時間: 3時間1分 観客: 6万5791人
詳細: Baseball-Reference.com
第2戦 10月15日
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
カンザスシティ・ロイヤルズ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 | 0 | 0 | 4 | 11 | 0 |
フィラデルフィア・フィリーズ | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 4 | X | 8 | 8 | 1 |
- 勝:スティーブ・カールトン(1勝) 敗:ダン・クイゼンベリー(1敗) S:ロン・リード(1S)
- 審判
[球審]ビル・カンケル(AL)
[塁審]一塁: ポール・プライアー(NL)、二塁: ドン・デンキンガー(AL)、三塁: ダッチ・レナート(NL)
[外審]左翼: ニック・ブレミガン(AL)、右翼: ハリー・ウェンデルステット(NL) - 夜間試合 試合時間: 3時間1分 観客: 6万5775人
詳細: Baseball-Reference.com
第3戦 10月17日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
初回裏、ジョージ・ブレットのソロ本塁打でロイヤルズが先制(55秒) |
延長10回裏二死一・二塁、ウィリー・エイキンズの打球が左中間を破り、ロイヤルズがサヨナラ勝利(1分23秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | R | H | E |
フィラデルフィア・フィリーズ | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 3 | 14 | 0 |
カンザスシティ・ロイヤルズ | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1x | 4 | 11 | 0 |
- 勝:ダン・クイゼンベリー(1勝1敗) 敗:タグ・マグロウ(1敗1S)
- 本塁打
PHI:マイク・シュミット1号ソロ
KC:ジョージ・ブレット1号ソロ、エイモス・オーティス2号ソロ - 審判
[球審]ポール・プライアー(NL)
[塁審]一塁: ドン・デンキンガー(AL)、二塁: ダッチ・レナート(NL)、三塁: ニック・ブレミガン(AL)
[外審]左翼: ハリー・ウェンデルステット(NL)、右翼: ビル・カンケル(AL) - 夜間試合 試合時間: 3時間19分 観客: 4万2380人
詳細: Baseball-Reference.com
第4戦 10月18日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
ロイヤルズのウィリー・エイキンズが初回裏・2回裏の2イニング連続で本塁打を放ち3打点を挙げる(2分27秒) |
4回裏、フィリーズの2番手投手ディッキー・ノールズがジョージ・ブレットへブラッシュボールを投げつけ、球場が騒然とする(2分38秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
フィラデルフィア・フィリーズ | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 3 | 10 | 1 |
カンザスシティ・ロイヤルズ | 4 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | X | 5 | 10 | 2 |
- 勝:デニス・レナード(1勝1敗) 敗:ラリー・クリステンソン(1敗) S:ダン・クイゼンベリー(1勝1敗1S)
- 本塁打
KC:ウィリー・エイキンズ3号2ラン・4号ソロ - 審判
[球審]ドン・デンキンガー(AL)
[塁審]一塁: ダッチ・レナート(NL)、二塁: ニック・ブレミガン(AL)、三塁: ハリー・ウェンデルステット(NL)
[外審]左翼: ビル・カンケル(AL)、右翼: ポール・プライアー(NL) - 昼間試合 試合時間: 2時間37分 観客: 4万2363人
詳細: Baseball-Reference.com
第5戦 10月19日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
4回表、マイク・シュミットの2点本塁打でフィリーズが先制(45秒) |
9回表無死一塁、代打デル・アンサーの二塁打でフィリーズが同点に追いつく(50秒) |
さらに二死三塁で、マニー・トリーヨが投手強襲安打を放ち、三塁走者アンサーが生還してフィリーズが逆転(45秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
フィラデルフィア・フィリーズ | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 4 | 7 | 0 |
カンザスシティ・ロイヤルズ | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 3 | 12 | 2 |
- 勝:タグ・マグロウ(1勝1敗1S) 敗:ダン・クイゼンベリー(1勝2敗1S)
- 本塁打
PHI:マイク・シュミット2号2ラン
KC:エイモス・オーティス3号ソロ - 審判
[球審]ダッチ・レナート(NL)
[塁審]一塁: ニック・ブレミガン(AL)、二塁: ハリー・ウェンデルステット(NL)、三塁: ビル・カンケル(AL)
[外審]左翼: ポール・プライアー(NL)、右翼: ドン・デンキンガー(AL) - 昼間試合 試合時間: 2時間51分 観客: 4万2369人
詳細: Baseball-Reference.com
第6戦 10月21日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
4回裏、マイク・シュミットの2点適時打でフィリーズが先制(50秒) |
フィリーズ先発スティーブ・カールトンが7回で7つの三振を奪い、ロイヤルズ打線を1点に抑える(2分11秒) |
9回表一死満塁、フランク・ホワイトのファウルフライを捕手ボブ・ブーンがグラブからこぼすも、一塁手ピート・ローズのカバーでアウトに(35秒) |
その後タグ・マグロウがウィリー・ウィルソンを空振り三振に仕留めて試合終了、フィリーズの優勝が決定(1分2秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
カンザスシティ・ロイヤルズ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 7 | 2 |
フィラデルフィア・フィリーズ | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | X | 4 | 9 | 0 |
- 勝:スティーブ・カールトン(2勝) 敗:リッチ・ゲイル(1敗) S:タグ・マグロウ(1勝1敗2S)
- 審判
[球審]ニック・ブレミガン(AL)
[塁審]一塁: ハリー・ウェンデルステット(NL)、二塁: ビル・カンケル(AL)、三塁: ポール・プライアー(NL)
[外審]左翼: ドン・デンキンガー(AL)、右翼: ダッチ・レナート(NL) - 夜間試合 試合時間: 3時間0分 観客: 6万5838人
詳細: Baseball-Reference.com
脚注
- ^ "World Series Television Ratings," Baseball Almanac. 2019年11月30日閲覧。
- ^ Richard Sandomir, "Postseason Vanishing From Broadcast Networks," The New York Times, October 17, 2014. 2019年11月30日閲覧。
- ^ Allen Barra, "BASEBALL: AGAINST THE GRAIN; Phillies Sell Hope, Fans Feel Pain," The New York Times, April 6, 2003. 2019年11月30日閲覧。
- ^ Blair Kerkhoff, "All-expansion team World Series will be a first," The Kansas City Star, October 23, 2015. 2019年11月30日閲覧。
- ^ John Cronin, "The Historical Evolution of the Designated Hitter Rule," Society for American Baseball Research, 2016. 2019年11月30日閲覧。
外部リンク
- MLB.com Postseason History(英語)
- Baseball Almanac(英語)
- Baseball-Reference.com(英語)
- 1980 World Series - IMDb(英語)
- 動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿した試合映像
- 第6戦:1980 World Series, Game 6: Royals @ Phillies
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フィラデルフィア・フィリーズ 1980年のワールドシリーズ ロースター |
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