2006年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)優勝決定戦の第102回ワールドシリーズ(英語: 102nd World Series)は、10月21日から27日にかけて計5試合が開催された。その結果、セントルイス・カージナルス(ナショナルリーグ)がデトロイト・タイガース(アメリカンリーグ)を4勝1敗で下し、24年ぶり10回目の優勝を果たした。
カージナルス監督のトニー・ラルーサとタイガース監督のジム・リーランドはかつて、1982年からの4年間シカゴ・ホワイトソックスで監督と三塁コーチという間柄にあった[3]。ラルーサは1989年にアメリカンリーグのオークランド・アスレチックスで、リーランドは1997年にナショナルリーグのフロリダ・マーリンズで、それぞれ監督としてシリーズ優勝を経験している。したがって、今シリーズの対戦カードが確定した時点でどちらが優勝しようとも、その監督が両リーグの球団でシリーズを制する史上2人目の監督となることが決まった[注 1]。カージナルスの優勝によって、ラルーサが史上2人目となった。カージナルスのレギュラーシーズン勝率.516は 、1987年のミネソタ・ツインズ(.525)を下回り、優勝球団史上最低記録を更新した[4]。シリーズMVPには、第4戦と第5戦の2試合連続で決勝の打点を挙げるなど、5試合で打率.364・4打点・OPS.891という成績を残したカージナルスのデビッド・エクスタインが選出された。
ワールドシリーズまでの道のり
両チームの2006年
10月14日にまずアメリカンリーグでタイガース(中地区)が、そして19日にはナショナルリーグでカージナルス(中地区)が、それぞれリーグ優勝を決めてワールドシリーズへ駒を進めた。
ホームフィールド・アドバンテージ
7月11日にペンシルベニア州ピッツバーグのPNCパークで開催されたオールスターゲームは、アメリカンリーグがナショナルリーグに3-2で勝利した。この結果、ワールドシリーズの第1・2・6・7戦を本拠地で開催できる "ホームフィールド・アドバンテージ" は、アメリカンリーグ優勝チームに与えられることになった。このオールスターには、タイガースからは投手はケニー・ロジャース、野手はイバン・ロドリゲスとマグリオ・オルドニェスの計3人が選出された。一方のカージナルスからは、投手はクリス・カーペンター、野手はアルバート・プホルスとデビッド・エクスタイン、スコット・ローレンの計4人が名を連ねた。試合では、初回裏一死二塁の場面でロジャースとプホルスの対戦があり、ロジャースが遊飛に抑えている[5]。
両チームの過去の対戦
過去101回のシリーズのなかで、タイガースとカージナルスの対戦は2度ある。1934年の初対戦ではカージナルスが、1968年の2度目の対戦ではタイガースが、いずれも4勝3敗でシリーズを制した。
1997年から始まったレギュラーシーズン中のインターリーグでは、10年間で計17試合が組まれており、タイガースが11勝6敗で勝ち越している[6]。直近の対戦は、この年の6月23日から25日にかけて組まれたタイガースの本拠地コメリカ・パークでの3連戦で、タイガースが3連勝のいわゆる "スウィープ" を果たした。この3連戦最終戦前、カージナルスのアルバート・プホルスはタイガース監督のジム・リーランドに「あなたのチームはワールドシリーズへ行けそうだ。あなたと次に会う機会が、願わくはシリーズであらんことを」と声をかけていたといい、それが実現したことになる[7]。
試合結果
2006年のワールドシリーズは10月21日に開幕し、途中に移動日と雨天順延を挟んで7日間で5試合が行われた。日程・結果は以下の通り。
日付 | 試合 | ビジター球団(先攻) | スコア | ホーム球団(後攻) | 開催球場 |
10月21日(土) | 第1戦 | セントルイス・カージナルス | 7-2 | デトロイト・タイガース | コメリカ・パーク | |
10月22日(日) | 第2戦 | セントルイス・カージナルス | 1-3 | デトロイト・タイガース |
10月23日(月) | | 移動日 | |
10月24日(火) | 第3戦 | デトロイト・タイガース | 0-5 | セントルイス・カージナルス | ブッシュ・スタジアム |
10月25日(水) | 第4戦 | 雨天順延 |
10月26日(木) | 第4戦 | デトロイト・タイガース | 4-5 | セントルイス・カージナルス |
10月27日(金) | 第5戦 | デトロイト・タイガース | 2-4 | セントルイス・カージナルス |
優勝:セントルイス・カージナルス(4勝1敗 / 24年ぶり10度目) |
第1戦 10月21日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
2回表、スコット・ローレンのソロ本塁打でカージナルスが同点に(25秒) |
3回表、アルバート・プホルスが2点本塁打を放ちカージナルスが4点目を挙げる(26秒) |
タイガース先発投手ジャスティン・バーランダーは5イニングで8三振を奪う(57秒) |
カージナルス先発投手アンソニー・レイエスが8回4奪三振2失点で勝利投手に(34秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
セントルイス・カージナルス | 0 | 1 | 3 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 7 | 8 | 2 |
デトロイト・タイガース | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 4 | 3 |
- 勝:アンソニー・レイエス(1勝) 敗:ジャスティン・バーランダー(1敗)
- 本塁打
STL:スコット・ローレン1号ソロ、アルバート・プホルス1号2ラン
DET:クレイグ・モンロー1号ソロ - 審判
[球審]ランディ・マーシュ
[塁審]一塁: アルフォンソ・マルケス、二塁: ウォーリー・ベル、三塁: マイク・ウィンタース
[外審]左翼: ジョン・ハーシュベック、右翼: ティム・マクレランド - 試合開始時刻: 東部夏時間(UTC-4)午後8時5分 試合時間: 2時間54分 観客: 4万2479人 気温: 56°F(13.3°C)
詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / Fangraphs
第2戦 10月22日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
タイガース先発投手ケニー・ロジャースが8イニングを5奪三振で無失点に抑える(1分) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
セントルイス・カージナルス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 4 | 1 |
デトロイト・タイガース | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | X | 3 | 10 | 1 |
- 勝:ケニー・ロジャース(1勝) 敗:ジェフ・ウィーバー(1敗) S:トッド・ジョーンズ(1S)
- 本塁打
DET:クレイグ・モンロー2号ソロ - 審判
[球審]アルフォンソ・マルケス
[塁審]一塁: ウォーリー・ベル、二塁: マイク・ウィンタース、三塁: ジョン・ハーシュベック
[外審]左翼: ティム・マクレランド、右翼: ランディ・マーシュ - 試合開始時刻: 東部夏時間(UTC-4)午後8時26分 試合時間: 2時間55分 観客: 4万2533人 気温: 44°F(6.7°C)
詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / Fangraphs
第3戦 10月24日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
カージナルス先発投手クリス・カーペンターが8イニングを6奪三振で無失点に抑える(51秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
デトロイト・タイガース | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 1 |
セントルイス・カージナルス | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 2 | 1 | X | 5 | 7 | 0 |
- 勝:クリス・カーペンター(1勝) 敗:ネイト・ロバートソン(1敗)
- 審判
[球審]ウォーリー・ベル
[塁審]一塁: マイク・ウィンタース、二塁: ジョン・ハーシュベック、三塁: ティム・マクレランド
[外審]左翼: ランディ・マーシュ、右翼: アルフォンソ・マルケス - 試合開始時刻: 中部夏時間(UTC-5)午後7時35分 試合時間: 3時間3分 観客: 4万6513人 気温: 43°F(6.1°C)
詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / Fangraphs
第4戦 10月26日
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
デトロイト・タイガース | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 4 | 10 | 1 |
セントルイス・カージナルス | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 2 | 1 | X | 5 | 9 | 0 |
- 勝:アダム・ウェインライト(1勝) 敗:ジョエル・ズマヤ(1敗)
- 本塁打
DET:ショーン・ケイシー1号ソロ
- 審判
[球審]マイク・ウィンタース
[塁審]一塁: ジョン・ハーシュベック、二塁: ティム・マクレランド、三塁: ランディ・マーシュ
[外審]左翼: アルフォンソ・マルケス、右翼: ウォーリー・ベル - 試合開始時刻: 中部夏時間(UTC-5)午後7時30分 試合時間: 3時間35分 観客: 4万6470人 気温: 53°F(11.7°C)
詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / Fangraphs
第5戦 10月27日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
カージナルスの先発投手ジェフ・ウィーバーは8イニングを9奪三振無失点に抑える(1分29秒) |
7回表、先頭打者プラシド・ポランコの一・二塁間を抜けようかという打球を一塁手アルバート・プホルスがダイビングキャッチし、一ゴロでアウトに(1分5秒) |
9回表、アダム・ウェインライトがブランドン・インジを空振り三振に仕留めて試合終了、カージナルスの優勝が決定(44秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
デトロイト・タイガース | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 5 | 2 |
セントルイス・カージナルス | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | X | 4 | 8 | 1 |
- 勝:ジェフ・ウィーバー(1勝1敗) 敗:ジャスティン・バーランダー(2敗) S:アダム・ウェインライト(1勝1S)
- 本塁打
DET:ショーン・ケイシー2号2ラン
- 審判
[球審]ジョン・ハーシュベック
[塁審]一塁: ティム・マクレランド、二塁: ランディ・マーシュ、三塁: アルフォンソ・マルケス
[外審]左翼: ウォーリー・ベル、右翼: マイク・ウィンタース - 試合開始時刻: 中部夏時間(UTC-5)午後7時30分 試合時間: 2時間56分 観客: 4万6638人 気温: 47°F(8.3°C)
詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / Fangraphs
脚注
注釈
出典
- ^ "World Series Television Ratings," Baseball Almanac. 2020年3月29日閲覧。
- ^ Ron Cook, "Cook: A special manager has his team at a special place," Pittsburgh Post-Gazette, October 21, 2006. 2020年3月29日閲覧。
- ^ Dan Fox, "Schrodinger’s Bat: Rainy Days and Sundays," Baseball Prospectus, November 2, 2006. 2020年3月29日閲覧。
- ^ "2006 All-Star Game Box Score, July 11," Baseball-Reference.com. 2020年3月29日閲覧。
- ^ "Head-to-Head Records," Baseball-Reference.com. 2021年6月13日閲覧。
- ^ Dave Sheinin, "Rested, Weary and Ready Tigers, Cardinals Took Vastly Different Paths Into World Series," The Washington Post, October 21, 2006. 2020年3月29日閲覧。
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、2006年のワールドシリーズに関連するカテゴリがあります。
- ESPN.com(英語)
- Baseball Almanac(英語)
- Baseball-Reference.com(英語)
- 2006 World Series - IMDb(英語)
- 動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿した試合映像
- 第5戦:2006 World Series, Game 5: Tigers @ Cardinals
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- 2039
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カテゴリ |
セントルイス・カージナルス 2006年のワールドシリーズ ロースター |
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| | | 監督 10 トニー・ラルーサ コーチ 08 ハル・マクレー(打撃) 11 ホセ・オケンドー(三塁) 18 デーブ・ダンカン(投手) 24 ジョー・ペティーニ(ベンチ) 38 マーティー・メイソン(ブルペン) 39 デーブ・マッケイ(一塁) |
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セントルイス・カージナルス |
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球団 | |
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歴代本拠地 | |
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永久欠番 | |
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カージナルス球団殿堂 | |
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ワールドシリーズ優勝(11回) | |
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ワールドシリーズ敗退(08回) | |
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リーグ優勝(19回) | |
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できごと | |
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傘下マイナーチーム | |
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デトロイト・タイガース |
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球団 | |
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歴代本拠地 | |
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文化 | |
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永久欠番 | |
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ワールドシリーズ優勝(04回) | |
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ワールドシリーズ敗退(07回) | |
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リーグ優勝(11回) | |
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できごと | |
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傘下マイナーチーム | - トレド・マッドヘンズ(AAA級)
- エリー・シーウルブズ(AA級)
- ウェストミシガン・ホワイトキャップス(High-A級)
- レイクランド・フライングタイガース(Low-A級)
- フロリダ・コンプレックスリーグ・タイガース(Rookie級)
- ドミニカン・サマーリーグ・タイガース(Rookie級)
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